2019年12月19日木曜日

6C-A7(EL-34) を使った 失敗しない真空管アンプの工作

6C-A7(EL-34) p-p 三極管接続 ステレオアンプ 15W×2

ラジオ少年を半世紀以上継続している 無銭庵 仙人 と申します。自前で工作し実働している常用真空管システム群一部の紹介です。いまだに50年ほど継続し愛用している音響システムは真空管アンプです。
近年真空管アンプを愛用される方が少ないと思いますが 過去の遺物となっている真空管アンプ工作の参考になればと思い記載します。記載事項については個人的な記載内容であり参考程度とご理解ください。時々内容が脱線状態となりますが愛嬌とご理解ください。

近年真空管アンプを工作するに電子パーツ屋・ジャンク屋の数も年々減少し 入手しにくいと思いますが 現代でも入手可能な部品を使って工作を進めます。その中でも新規部品を購入に際して高額な部品はトランス類です。手持ち在庫品・ジャンクボックスからの選別品も視野に入れます。ある程度の電子技術・金属加工・木工加工のスキルが無い場合 工作内容が難しいかもしれませんのでご理解ください。最低安価なテスター〈回路計)であっても完成できるように話を進めます。真空管については現代でも比較的安価に入手でき 数多く市場にある部品を吟味します。高額な プレミアム管・特殊管 は使用しません。真空管アンプの中でも有名な WE-300B(Western Electric) などは一本5~10万円以上の値札が付いています。

真空管アンプを工作するに各個人の感覚となりますが リスニングに際して心地よいお昼寝ができる音出しを目標としています。近年の大音量で聴くシーンを目標としていません。それと高級な測定機器を酷使して音決めなどは凡人には不可能な作業です。最低テスター一台あれば何とか納得できる音となるように工作を進めます。一応測定機器を使って物理特性は検証しますが あくまでも確認程度とします。測定機器類はオーディオの三種の神器と呼ばれる オシロスコープ・ACミリボルトメーター・低周波発振器 などを所有しておれば検証ができると思います。

6C-A7(EL-34) Westinghouse

上図は以前12本まとめ買いしてあった ヨーロッパタイプの細管である 6C-A7(EL-34) 五極真空管でペアチューブではありません。近年販売されているメーカー製アンプ(Luxman SQ-38U)などに多用されている電力増幅出力管です。今回の工作事例では luxman SQ38FD,MQ-60 の音質に似通った真空管アンプとなるように工作です。
6C-A7真空管購入の領収書は 平成5年(@1,800-)でした。



上図は 6C-A7 の真空管規格表です。この真空管規格表に記載されている内容から真空管アンプの設計ができます。

小生常用システムの真空管アンプはメーカー製とは異なり自己でキット品の組み立て及びシャーシーまで手加工したシステムであり 50年近く実働している真空管システムです。過去には多数台の真空管アンプを工作しましたが常用システムは終段電力出力管は三極管もしくは 多極管の三極管接続アンプが常用システムとなっています。現用システムの真空管アンプは

コントロールアンプ
     LUXKIT A-3400
パワーアンプ 
   No.1  6C-A7(EL-34) p-p 三極管接続 15W
      No.2  6B-Q5(EL84) p-p 三極管接続 5.2W
      No.3  3C33 p-p  三極管(単管) 10W
      No.4  WE-421A (単管)三極管  3.0W

その日の気分によりメインアンプは選択して愛用しています。別室の Luxman SQ-38FD とスビカーは ALTEC 612J (Loudspeaker 604-8K ,Tow-way full range 16" Duplex coaxial 98.5dB SPL) が常用システムです。SQ-38FD はビーム四極管構造の三極管接続の真空管です。このアンプは三極管としては高出力で30ワットですが現代の100ワット以上の高級半導体アンプと比較するとパワー不足と思いますが 使用するスピーカーは現代の能率の悪い 80dB 前後のスピーカーとは異なり 95~100dB 程の高能率スピーカーシステムではパワー不足は感じられません。入力される音源は近年PCに保管してあるデジタル音源再生が主となっています。他にアナログ入力としてLPレーコード・オープンリールデッキなどとCD再生です。FMチューナーも接続してありますが気に入った番組はほとんどありません。YouTube などの音楽再生も音出しは気が向けば真空管システムから流します。WOWOW オンデマンド配信についても同様です。

上記のような真空管システムで運用です。
ただ真空管アンプは消費電力も多く 道楽部屋での真空管システムは夏場となると地獄部屋となるため 半導体 IC TA8210AH(BTL) 9W(8Ω負荷)の手作りアンプ出番も多くなります。

過去には直熱三極管を使ったアンプも複数台作成しましたが 300B,2A3,45 などの古典管ではフィラメント仕様のため 残留雑音などに悩まされ 夜間のリスニングには高能率のスピーカーシステムには適しておりません。そのためほとんど解体しました。
悪友であるオーディオ仲間などの 五極管を使ったアンプとの聞き比べをしましたが自分に合った音質とはなりません。その意味もありほとんどのアンプでは 陰極はフィラメントではなくカソード仕様のアンプばかりです。
アンプを作成するに シングル又はプッシプル動作がありますが簡単に工作できる方式はシングルアンプであり入門者用として多数のキットが存在します。安価な 6B-M8 シングル五極管接続アンプでは2~3ワットの出力しか得ることができません。ST管の UZ-42 シングルでは 4.5W で電蓄ラジオに多用された真空管です。この 42 (6F6互換) を三極管接続として有名なパラプッシュアンプは Dr,オルソンアンプです。シングル動作で三極管接続とすると出力は高々1ワット未満でありちょっと出力不足となります。プッシュプルの場合でも AB1プッシュプルでは5W強です。このように三極管・三極管接続アンブでは能率が悪く高出力は望めませんが 五極管接続のアンプに比較すると高音質です。
今回使用する 6C-A7 は 高出力の拡声器用(PA)アンプ・無線送信機用 A3変調器ではプッシュプルで100ワット近く出せますが 三極管接続となるとプッシュプルで20ワットほどしか出せません。

真空管アンプは元々古いデバイスであり S/N比などは近年の高級半導体アンプには勝てません。低能率のスピーカーシステムを使い高級ハイパワー半導体アンプを自慢している人種とは異なります。真空管アンプシステムは消費電力を考えればエコではありません。過去の遺物かもしれませんが心地よい音楽再生ができます。

三極管・三極管接続真空管試験装置

上図は 2A3 シングルモノラルアンプそのものです。出力トランスは LUX SS5B2.5 の余剰部品を使いました。多種多用の真空管を試験するために工作した物です。ジャンクボックスをひっくり返して部品を寄せ集めて作成です。仕様としてA級シングルアンプです。バイアスは自己バイアスとしてカソード抵抗を大型巻線VRを使い自由に可変できるのと 供給するB電圧もある程度切り替え可変できる構造です。現在松下製 6C-A7 を取り付けての動作実験です。この回路を2組組み立てればステレオとなり 6C-A7 シングルステレオアンプとなります。比較的シングルアンプとしては他の真空管よりは高出力が得られます。シングルアンプを設計する場合 B電源の平滑回路を強化しなければ残留ハムに悩ませるため チョークコイル・平滑用電解コンデンサーの容量値についても注意が必要です。
真空管試験装置の詳細は musenan05.blogspot.com を参照ください。

新規に真空管アンプ工作となりますが 工作の手本となる雑誌などでは 鈴蘭堂(現タカチ)のシャーシーを加工もしくは加工を外注した真空管アンプの数が多く見受けられます。同じような顔ばかりであり 弁当箱型アルミ製では見栄えもよくありません。物の見方を変えると40~50年ほど前に量産されたメーカー製の真空管アンプをレストアするのも良いと思います。例えば LUXKIT A-3500 などです。初期搭載真空管は 6C-A7 松下製であり今回工作の手本となった真空管アンプです。ほとんどの場合 故障確率の高い出力トランス OY15-5 は現行品代替え出力トランスに取り替えないと修復できないと思います。
LUXKIT A-3500 のレストアをされる場合 レストアベース用途として機器を購入しても肝心の出力トランス OY15-5 はほぼ全滅と思います。たとえ生きていても使用中に故障となる確率は高いと思われ 実働させるには結構高額な部品交換代金・諸費用を含め思いもよらない費用が発生する可能性もあります。

6C-A7 プッシュプル三極管接続アンプ内部構造
上記アンプはジャンクボックスを探索し収集した部品で工作したものです。SQ-38FD 改修作業で 以前組み立ててあった 6V6 三極管接続アンプから出力トランス・タンゴ CRD-5 を SQ-38FD に移植したため 新規工作しました。シャシーはホームセンターで入手可能な 1.5t 300×400 のアルミ板を加工です。加工寸法は250×400 に縮小し 木枠は12mmしな合板です。工作する真空管アンプの構造基本となっておりシャーシー寸法の違いにより基本形態は3種類です。配線時上下ひっくり返した場合でもも両サイドの木枠により 取り付けた部品の養生を心配することはありません。重量配分として両サイドに重量物を取り付け強度的にも最良と思います。一種のこだわりです。

主要部品
出力トランス タムラ製作所 F-683 30W 5KΩp-p
電源トランス 大阪高波 INSTANT P-802 330V-450V /250mA, 6.3V/4A×2 ,5V/2A,5V/3A
チョークコイル タムラ製作所 A-396 5H/200mA

新規工作となれば以前から収集した手持ち保管品を多数使用しましたので 入手できない部材があると思います。廃版となっているものがほとんどです。同等品は見つけ出せると思いますので紹介します。(価格は2019年12月調査)

出力トランス コスト重視であれば 旧ノグチトランス販売の商品を継続している
ゼネラルトランス販売 PMF28P-5K(合わせカバー) 11,900円税込み 正価15,750円税込み
ハシモト電気(旧山水)HW-25-5(ケース入り) 32,190円税込み
タンゴ系列として
アイエスオートランスフォーマーズ FC-25-5(ケース入り) 19,600円税込み

電源トランス 今回の場合ではB電圧350V前後 電流値は200mA以上と ヒーター電圧6.3V/4A 2系統以上 5V/3A が必要と思います。
ゼネラルトランス販売 PMC-264M 15,270円税込み  17,820円正価税込み
ハシモト電気(旧山水)該当なし
アイエスオートランスフォーマーズ MS-4023Ⅱ 27,400円税込み MS-4023D 41,200円税込み
オークションなどで LUXKIT A3500用の電源トランスが時々出品されていますので 中古品でも活用は可能と思います。

チョークコイル 5~10H/200mA以上のケース入りもしくはバンド締めタイプでも動作には問題ありません。チョークインプット用ではなくコンデンサーインプット型をお勧めします。形状により価格の幅は大きく 懐具合と相談してください。

他の主要部品では肝心の真空管がありますが必要な真空管として下記に記載します。

電力増幅管 6C-A7(EL-34)
6C-A7(EL-34)については松下製がベストと思います。開発元はオランダのフィリップス社であり国内ライセンス製造会社は現パナソニック社です。オリジナル品フィリップス及びドイツのテレフンケン社は結構高額です。できうる限りペアチューブをお勧めします。旧共産圏では今日でも製造されており 価格も安価(EH.CHINA)と思います。6C-A7(EL-34)は2ペア4本必要です。
位相反転管 6F-Q7/6C-G7
リーク・ムラード型とし今回使用した真空管は GE 6FQ7/6CG7 2本です。μは20ほどであり 6SN7 と同特性です。よく使われる真空管は 6AQ8(ECC-85) ですが μ57 で増幅率が異なります。終段管の6C-A7はバイアス電圧が浅く高感度の真空管であり μ20でも問題はないと思います。
初段管 12A-T7(ECC-81)
メインアンプの初段管としてよく使われる真空管は電圧増幅管の五極管と三極管が使われます。五極管としては 6267(EF-86),6AU6,複合管 6AN8 ,6BL8などです。五極管を使用する理由として初段で増幅度を稼ぐ場合よく使用します。三極管では 6AQ8(ECC-85),6DJ8(ECC-88),6267(EF-86)三極管接続がよく採用されています。今回あまり使用例の少ない 12A-T7(ECC-81) を採用しました。1本必要でμは60前後で中増幅率の真空管です。低増幅率の真空管として 12A-U7(ECC-82) μ20です。 高増幅率の真空管は 12A-X7(ECC-83) μ100が該当する真空管です。今回採用したリーク・ムラード型はPK分割型と異なり位相反転段で利得があるため初段では多くの利得を得る必要はありません。真空管の内部抵抗が低い場合多くの電流が流せるため 負荷抵抗値が低く次段へのドライブが楽になります。

その他の部品
真空管ソケット 高耐圧ブロック型コンデンサー 抵抗類 コンデンサー類 その他小物配線材料・スイッチ類・シャーシーですが 全数新規購入となるとトランス類の価格が主となりますが 材料費用として総額 6万~10万円 ほど必要ではないかと思います。ジャンクボックスを活用するのも一つの方策と思います。10数万出せばキット品がありますのでそちらの検討でもよいと思いますが 300B,KT88,などが主であり 6C-A7 三極管接続アンプは見かけません。

加工に必要な工具・材料類

工具及びねじ類などのほとんどは近くにあるホームセンターで入手できると思います。

アルミシャーシー アルミ板 厚みと寸法は種類が多くないですが 基本的には200,300,400mm 単位・寸法のアルミ板を購入して加工します。
ドリル 数千円代でも実用になります。10mm まで取りつく ドリルの刃 数種類
ジグソー アルミ板切削加工 なければ金属のこぎり
ホールソー 真円加工 なければやすり加工 シャーシーパンチ
汎用工具 各種プラス・マイナスドライバー ラジオペンチ ニッパー ピンセット ボックスレンチ スパナ モンキー 各種やすりなど
半田ごて セラミックヒーター仕様 電力切り替えタイプ ハッコー、グッドなど 0.8~1mm フラックス入り半田 スズ含有量が60%以上の良質半田もしくは鉛フリーハンダ
塗装用ラッカースプレー 各自好みの色
配線材料  0.5sq~0.75sq ビニル絶縁電線 シールド線 結束バンドなど小物品

地方では真空管・トランス類などは簡単に入手できないと思います。電子部品販売店 通販などで入手となると思います。


ここで終段管 6C-A7(EL-34) の真空管規格表の確認となります。出力電力を大きくするにはUL接続も可能ですが 以前所有していた DYNACO Mark-Ⅲ 6550UL接続プッシュプル60Wでした。組み立てたLUXKIT KMQ-60 と聞き比べしましたが自分の好む音質ではなく手放してしまいました。使用している出力トランスはUL接続用の中間タップも取り付けられておりますので 五極管接続よりは出力は低くなりますが三極管接続よりも高出力が可能です。LUXKIT A-3500 と同様の仕様変更は可能です。

 6C-A7三極管接続として動作となりますので AB1級ppの項目を見ますと

プレート電圧(Ep) 370V  第一グリッド電圧(Eg1) -28.5V  カソード電流(Ik) 130mA/2本分 負荷インピーダンス 5KΩp-p  出力 16.5W

今回 AB1級プッシュプル回路とし 固定バイアス動作で考えると 終段管のコントロールグリッドには負電圧のバイアス電圧を加えなければなりません。真空管規格表ではカソードバイアス動作となっておりカソード抵抗が220Ωです。オームの法則からバイアス電圧-28.5V/220Ωを計算すると電流値は129.5mAです。抵抗器での消費電力は W =電流×電流×抵抗値 を計算すると 3.17W ですが 使用する抵抗器の許容電力は3倍以上品を使うため10W型を使用しなければなりません。初心者ではカソードバイアスをお勧めします。供給するB電圧は 370V+28.5V+5V(トランス一次巻線での電圧降下)=403.5V が出力トランス電源側に供給する電圧です。出力管に入力される電力は W = 370V ×65mA = 24.5W と計算されます。真空管のプレート損失が25Wであるため 最大定格での動作と判断できます。
ここで参考となるのがマニュアル LUXKIT A3500 6C-A7 三極管接続への改造後の調整項目です。調整値として出力トランス一次側巻線各 P-B 間電圧値として7.0~6.5Vに調整するように指示されています。カソード電流値としては 39mA~43mAが調整値となります。
固定バイアスの場合アイドリング電流は 40mA 前後に調整しますので プレート電圧が 400V の場合でも入力電力は 16W であり真空管動作には余裕があります。欠点として終段管のコントロール・グリッド(制御格子)抵抗は自己バイアス回路に比較して低い値になります。100KΩ前後の値です。真空管のプレート(陽極)に印加できる最大電圧は スクリーングリッド(遮蔽格子)の最大電圧の 425V となります。アイドリング時の真空管に入力される電力値は 17W です。三極管接続の場合プレートとスクリーングリッドは100Ω 1/2W型の抵抗で接続します。最大プレート電圧は五極管接続の場合 800V ですが 三極管接続時はスクリーングリッドの最大電圧としなければなりません。

固定バイアスではグリッドに負電圧を加えアイドリング電流を制御するため 負電圧発生回路が必要となります。回路的には複雑となりますが固定バイアスのほうが得られる出力は大きくなります。

6C-A7 p-p 三極管接続 回路図

上図は片チャンネル分の回路図です。周波数特性に影響するカップリングコンデンサーは終段管のグリッドに接続されるフィルムコンデンサー 0.1μF/630WVのみで入力から位相反転段は直結回路となっています。+B電源電圧はチョークコイル A-396 出力側の電圧で P-802 電源トランス 330V 巻線をシリコンダイオード(RS4F)で整流後チョークコイル(A-395 5H/200mA)の出力側の電圧で B1,385V です。チョークコイルを流れている総電流は 182mA です。

アイドリング動作時の各電圧測定結果
B1 385V,  B2 336V,  B3 214V,   6F-Q7 カソード電圧 96V,  プレート電圧 225V,  12A-T7  プレート電圧 89V,  カソード電圧  1.35V,

税込み1000円以下で購入したデジタルテスター
上図は数100ボルト以上の電圧測定に使用したデジタルテスターです。0.5級YEW製の精密級測定器で自己校正しましたがほとんど誤差がありません。テスターが故障した場合においてはメーカー修理するよりは安価で 新品のテスターをディスカウントショップで購入することができます。20.0V以下の電圧測定は少し高級なデジタルテスターでの測定結果です。

終段管 6C-A7 アイドリング電流調整とDCバランス調整

金属皮膜精密抵抗1%誤差品 上 100Ω 下 10Ω 1/2W型
今回終段管 6C-A7 の各カソードとアース間に 10Ω,1/2W1%誤差金属皮膜精密抵抗を挿入してあります。測定より得られる結果は10Ωの両端の電圧が 0.404V が測定結果であり オームの法則より電流を求めると I=0.404/10=0.0404A   0.0404Aは 40.4mAです。隣のアナログテスターは0.3Vレンジで各カソード間の電圧を測定しています。針が振れなければ各カソードに挿入した 10Ω の抵抗で発生する電圧が同じ場合電位差が発生しないため指針は零を表示します。これが終段出力管のアイドリング電流とDC(直流)バランス調整です。この調整は測定器を複数台使用すると調整が楽になります。テスター1台だけであれば調整ごとに測定点接続を変えなければなりません。ステレオですので2系統同じ調整を各チャンネル繰り返し調整しなければなりません。それも動作が安定してからの調整となりますので 通電後30分以上経過してから最終調整します。

測定中の画像ではDCバランス用のトリマーVRはほぼ中心点になっています。これは真空管の特性を真空管試験装置で調査した結果 特性の似通った真空管をペアリングすればほぼ中点となるわけです。グリッド電圧の負電圧を測定した場合ほとんど同じ電圧を観測することができます。

各真空管回りの部品取り付け状況
6C-A7 4本はサブシャーシーに取り付けてあります。なぜかというと 6C-A7 一本にはアイドリング状態時でも常時真空管からは熱となって放出されます。それと真空管のカソードの内部には熱電子を放出するための加熱装置・ヒーターが取り付けられています。ヒーター電圧 6.3V 電流 1.5A ですので消費電力は 9.45W であり入力電力 16W  を加算すると 24.45W  が一本の真空管からの発熱源となります。6C-A7  合計4本となると 約100Wの熱源が真空管より放出しますので 真空管を自然空冷となるようにシャーシー下部からの自然対流により 真空管を冷却する必要があります。通風状態が良好となるように真空管付近には自然空冷効果を得るため メインシャーシーと真空管ソケットを取り付けるサブシャーシーは 10mm ほど通風を考慮し落とし込みとしてあります。そのためメインシャーシーには大きめの開口部として加工してあります。

各部品の配置状況

電源トランスとチョークコイルの間には高電圧電解コンデンサーであるブロック型コンデンサーを2本取り付けてあります。電解コンデンサーは高温を嫌うため 熱源から離れた場所に設置する必要があります。周辺温度が高温となるとコンデンサー内の電解液が漏洩したり 最悪白煙を伴い破損(パンク・爆発)することがあります。そのためにコンデンサーは取り付け金具を通常とは反対に使い 落とし込みとして シャーシーとコンデンサーの間には数ミリ隙間を作り 対流による自然冷却できる構造としてあります。
このように部品を配置する場合 部品個々の性質を理解した上 設計・組み立てする必要があります。
通常メインアンプは一度設定すればほとんどの場合常時調整することはありません。スピーカーのインピーダンス切り替えにおいてもしかりです。3回路・3接点のローターリースイッチで切り替えが可能なようにしてあります。それは出力トランスの間にあるスイッチです。常時使用するスピーカーシステムが8Ωであるためスイッチは8Ωとしてあります。入力感度調整は画像中央下にあるVRつまみで調整すればほとんど触れることはありません。選択できるメインアンプは4系統あるため各アンプでの入力感度を揃えるために各機器に入力VRで調整できるような仕様です。
メインアンプの入力電圧値は 0dBm/0.775V の入力信号時 フルパワー動作となるように
アンプは設計工作します。メインアンプを切り替えても 同じ音量となるように入力調整するわけです。

一応雑誌などに公開されている真空管アンプ回路を参考に工作をしてきましたが ある程度回路が読めるようになると多少の回路変更ができるようになります。テスターだけで組み立てた場合動作状況の確認は 各部の電圧測定・電流測定結果から真空管規格表と見比べれば特殊な使い方でない限り正常に動作にしているかは判別できます。

物理的動作確認については musenan20.blogspot.com 真空管式オーディオを楽しむための測定機器類のお話 を参考としてください。


物理的動作試験 疑似負荷接続
疑似負荷(ダミーロード 16Ω) を接続し オシロスコープ・ACミリボルトメーター・歪率計を接続して物理的な動作試験作業です。オーディオジェネレータより低歪率の 1000Hz 正弦波(サイン波)及び方形波(パルス波 )100Hz,1000Hz,10KHz, の信号をアンプ入力に接続します。
試験内容は 最大出力と歪率  1W出力時の歪率 方形波による波形観測 残留雑音出力レベル 入力感度 NFB 帰還量 などを必要に応じて画像観測及びデーターを数値化します。


自動歪率計 MAK-6571A 正弦波1000Hz 1W出力・歪率測定
この自動歪率計には歪率の測定およびACミリボルトメーターが内蔵されています。これと並列にオシロスコープを接続してあり 同時に波形観測します。ただこの歪率計は400Hz,1000Hz の正弦波歪しか測定できません。任意の周波数の歪率を測定する場合 所有している別機種(Shibasoku AH979G) をつかいます。精密測定でない場合は 1000Hz 正弦波 での測定でほぼ完成したアンプの出来具合が判別できます。
この歪率計の特徴として 歪率を測定するのに同調回路の調整など複雑な作業はありません。アンプを通過した正弦波を左のメーターで赤色に表示している範囲に指針が示すように入力感度スイッチを調整するだけです。又歪率もメーターフルスケール時の%をスイッチで選択するだけで簡単に使えるのが特徴です。
上記測定結果は 1000Hz(1KHz)  16Ω負荷時の電圧と その時の正弦波歪率を表示します。
 測定結果 正弦波信号と方形波信号をアンプ入力端子に接続する。                                
出力  4V(1.0W)   歪率 0.46%                 入力信号なし 8Ω負荷 L-ch 0.52mV (残留雑音)  
出力 15.5V(15W)   歪率 3.0%                入力信号なし 8Ω負荷 R-ch 0.65mV (残留雑音)
NFB〈帰還量)  8dB
最大出力時の入力電圧 約300mV  1W出力時の入力電圧 約80mV

残留雑音を軽減するには苦慮します。真空管を交換したり配線の引き回し方の変更及び シールド・接地位置の変更など複雑怪奇です。特にアース(接地)に考慮しなければなりません。よく言われるのが ワンポイントアース です。最短接地の高周波回路とは考え方が異なります。ループ配線も曲者です。

残留雑音を記載する場合 通常A補正値の信号レベル表記ですが 補正なしでの数値ですのでA補正値に変換すれば数値としては小さな数値となります。1mV 以下であれば耳障りとはなりません。2A3 などは数mVの残留雑音があります。それがフィラメント仕様真空管の欠点です。直流点火とすれば解消しますが 蓄電池以外であれば 直流化・リップル除去回路は複雑(低電圧・大電流)になります。
                  
同様にして各チャンネル測定します。下記画像は 5インチ2現象アナログ・ブラウン管(CRT)式オシロスコープによる観測波形です。


16Ω負荷 正弦波 歪率3%
16Ω負荷 バルス波 1000Hz
    












16Ω負荷 正弦波 歪率5%
16Ω負荷 バルス波 10KHz













16Ω負荷 正弦波 歪率10%
16Ω負荷 バルス波 100Hz















オシロスコープ観測波形から得られる結果は

左側の波形は最大出力時の歪率による波形の違いです。入力信号は下記図のような正弦波が上図のように波形が変化することが判明します。小生の場合 3% の歪率を表したときの電圧を最大出力として表示します。測定電圧は 約15.5V です。16Ω負荷での電力値は 約15W となります。歪率が変化すれば最大出力も変化します。最大出力を見極めるときには歪率も考慮しなければなりません。真空管規格表に記載されている最大出力の場合 その時の歪率(THD)も記載されています。

方形波波形観測からは パルス波とは 急激な立ち上がりと急激な立下りのある信号です。この信号は10倍以上の高調波成分が含まれています。
10KHz の信号では少し波形が丸みを帯びているのが判明します。変な高域にピーク・リンギング・オーバーシュートは観測できません。良好に高域まで伸びています。高域特性が悪い場合 波形が変形し丸みが多くなります。
1000Hz の信号は入力した信号と出力された信号波形はほぼ同じです。この信号波形に100Hzも10KHzも同じ波形出力となれば理想的なアンプです。真空管アンプとしては良好な波形です。
100Hz の信号は 上辺・底辺 が平行ではなく のこぎりの刃,状態となっています。これをサグといいます。低域周波数が悪い場合 角度は鋭角となり低域周波数特性が悪い証拠です。トランスのコア容量不足などが考えられます。
上記のパルス波出力波形はオシロスコープ感度 1V/DIV  の信号波形です。波高値は 4V peak to peak の信号波形です。



アンプに入力する 1000Hz(1KHz) 正弦波波形 オシロスコープ Kikusui COS 5020 20MH


まとめ

小生は完成品の高級オーディオ機器を購入する財力がありません。以前からジャンク品を含め多数の部品・測定機器類を保管しています。それらを活用し自己の能力に合わせて数々のアンプ類を工作してきました。解体したアンプも多数あります。工作時には原寸大の図面は手書きとなりますがトレース紙に設計します。その設計図は廃棄せずに保管してあります。設計及び加工・組み立ても一つの楽しみとして工作してきました。完成後気に食わず 解体作業も発生します。

今回紹介した真空管アンプのほか 多数工作しています。道楽部屋には収容しきれず別室もしくは 男の隠れ小屋 山奥にある山小屋 無銭庵 にも多数保管してあります。
今回紹介していませんが 別室には 2A3 プッシュプル Class AB1 ステレオアンプ 及びパワートランスまで手巻きで工作した KT-88,6550A 三極管接続 Class AB1 ステレオアンプも保管しています。お飾りでほとんど実働することはありません。
初期の常用システムのプリアンプ・メインアンプは山小屋ではメインシステムとなっています。3尺6尺の平面バッフル・ロクハンスピーカーは通常の住宅で鳴らすことはできないと思います。

道楽部屋には保守管として様々の種類の真空管は約200本ほど部品整理棚に保管しており 今しばらくはたとえ故障が発生しても修復可能となります。のちには粗大ごみ・産業廃棄物として処分されるのではないかと思います。西国まで真空管システムを持参することはできません。

隠れ山小屋 無銭庵のオーディオシステム

真空管式プリ・メインアンプ Luxman SQ-38FD
真空管式プリアンプ(コントロールアンプ) LUXKIT A-3300 + A33
真空管式メインアンプ 
その1 LUXKIT KMQ-60
その2  2A3シングル Class A ロフチン・ホワイト  ステレオアンプ
その3 6CK4 三極管 プッシュプル Class AB1  ステレオアンプ
その4 6F6 メタル管 三極管接続 Class AB1 ステレオアンプ
その5 300B(CHINA) プッシュプル Class AB1 ステレオアンプ
その他 野良仕事の BGM 用途としてICアンプ類も複数台確保してあります。
スビカーシステム
その1 六半(16cm アルニコ磁石 フルレンジ) 4連  3尺×6尺 平面バッフル ツィーター2個追加
その2 ALTEC 409-8E (20cm 2way 同軸) 2連
その3 DIATONE P-610A(BTS,16Ω) エッジ4分割セーム皮 フルレンジ
その4 ONKYO E-53A (30cm 3way)
その4 CORAL 8CX-50 (20cm 2way 同軸)

その他自宅では収容しきれない音響機器は 買い替えし実働するが不要となっている機器を含め多数保管してあります。その中でもカセットテープデッキは複数台保管してありますが オーバーホールし再使用する気力はありません。自宅では修復し実働するオープンリールデッキであふれています。

山小屋(無銭庵)は海抜100メートルほどの山尾根を開拓した場所にあり 公道入り口から細長い地形で一番奥までは 200m ほどあります。夏場は周辺草刈りで多忙となります。100m先は草刈りもできず雑木林化となっています。百姓の真似事とアマ無線は1.9MHz~1.2GHzまでオールモードでの時々運用です。三半・ローバンドでもアンテナ設置には困りません。周波数帯別単独アンテナ群での運用です。オーディオ機器と同様に開局当初より収集した無線機類も廃棄・転売せずに一部動態保存し お飾りとなっています。
里山ではイノシシが増え続け サツマイモ畑も食い荒らされ餌食となることもあります。里山生活は都会の雑音から逃れ 自然空間に音波及び電波を放出し アウトドアもどき自炊生活を入山すれば一週間続きます。 

真空管アンプマニアの憧れである WE-300B のアンプは財政難から工作できていません。CHINA製 300B は組み立てました。今後古典管に属する GE 6F6 メタル管は残数8本,6F6G 4本あり 三極管接続アンプとしてほとんどの主要部品は収集していますが 加工図面まで手が回りません。完成はいつになるやら ! ! !
実動している真空管アンプの保守管は部品棚に保管していますので 悪友どもの真空管アンプを含め保守が可能であり 今しばらくこの道楽を継続できると思います。

くだらないブログかもしれません。過去の記憶 忘備録として作成しました。多少とも参考になればと思います。

無銭庵仙人の独り言

常用真空管システム パワーアンプの紹介

その1 6C-A7(EL-34) 三極管接続 AB1級 プッシュプルアンプ 15W×2 上記記載分



その2 3C33 双三極管 AB1級 プッシュプルアンプ 10W×2

RCA JAN 3C33 単管双3極管p-p  10W×2 Class AB1
電力増幅真空管
アメリカ軍用真空管 RCA JAN 3C33
2組の3極管が封入されている特殊管で 元の用途はパルス増幅管です。カソードは共通で取り出されているため バイアス回路設計に苦慮します。よく似た形状では頂上に2本の角が出ている VHF送信管 829B (2B29)とよく似通った形状です。3C33 はプレート損失 2A3 と同じであり 1ユニット 15Wです。最大プレート電圧は 600V ヒーター電圧/電流 12.6V/1.125A
初段管 12A-T7(ECC-81) 位相反転管  6F-Q7 リークムラード 整流管 5A-R4 両波整流
出力トランス タムラ製作所 F-483 5Kp-p 30W
電源トランス ノグチトランス販売 PMC-283M
チョークコイル タムラ製作所 A-396 5H/200mA
アルミシャーシー 300×250 1.5t 木枠 12mm シナ合板

RCA JAN 3C33 内部配線
電力増幅管のバイアス回路に苦労しました。双三極管構造であり真空管の足の数は7本です。そのためカソードについては2本分並列で取り出されているため カソード電流2本分となるため各ユニットごとのカソード電流の測定できません。回避策として出力トランスの電源接続側に10Ωを挿入し ユニットごとの電流測定するようにしました。この出力トランスは電源入力端子が分離されているため 10Ω 抵抗器を真空管のユニットごとに挿入し測定できたわけです。プレート電流測定時 高電圧がかかった場所での測定となるため 感電事故に注意しなければなりません。バイアス回路は固定バイアスです。アルテック型の DCバランス・セミフィックスドバイアス としましたが 長時間使用すると真空管プレートが赤熱状態となり 固定バイアス回路と変更しました。現在熱暴走は発生しておりません。

RCA JAN 3C33
3C33 の真空管ソケットは特殊な構造です。旧ソ連のお化け三極管レギュレーター管の6C33B のソケットと同じですので探すのは可能と思います。829B 用ジョンソンソケットは高周波用途として存在しますが高額であり なかなか見つかりませんでした。現在使用している真空管ソケットはタイト製で たぶん中国製と思います。このソケットに適合する真空管として 無線機の送信管 832A,829B,2B94,です。他の送信管も同様に1625,807,6146W,2E26 共 複数本新品を保管していますが いつアンプの工作に使うかは 現在見込みは立っていません。

その3   6B-Q5(EL-84) 三極管接続 AB1級 プッシュプルアンプ 5.2W×2

このアンプはセルフバイアス方式であり 終段管のバイアスはカソード抵抗で制御されています。それも各真空管カソード抵抗が単独で動作する方式でありバイアスは無調整回路です。6B-Q5 カソード抵抗値は560Ω/2W 4本です。プレート・カソード間の電圧は300V以下であることだけです。この方式は入門者にとっては失敗しない工作方法です。簡単なNFBで事が済みます。


電力増幅出力管 6B-Q5(EL-84) 三極管接続プッシュプル Class AB1 カソードバイアス(自己バイアス) Rk 560Ω 4本
初段 電圧増幅管 6D-J8(ECC-88)   位相反転管 12A-U7(ECC-82)  リークムラード型
出力トランス ISOタンゴ FE-10-10 10KΩp-p 10W
電源トランス 山水 PT-120  280V-250V 120mA,  6.3V/3A, 6.3V/2A, 5V/2A
チョークコイル 山水 C-10-150 10H/150mA
アルミシャーシー(200×300 1.5t) 木枠シナ合板


初期に工作した真空管アンプは 7189A (6B-Q5 類似管) 五極管接続のモノラルアンプでした。400Vをプレートに加えると出力は 10W ということでクリスタルカートリッジのレコード再生を目的として工作したアンプです。スピーカーは福音電気製(現パイオニア) 普及型 20cm パーマネントスピーカーとの記憶です。

その後 メーカー製ピュアコンプリメンタリーOCL.OTLトランジスターアンプ 20W×2を愛用していましたが。当時のスピーカーはコーラル製 8CX-7 8CX-50、その後 ONKYO E-53A との記憶です。ラジオ少年の夢が忘れられず 自作真空管アンプにのめりこみました。2A3 シングルか 6B-Q5三極管接続プッシュプルアンプが先かは記憶は定かではありませんが 初期にアルミ弁当箱で工作した記憶があります。2A3,6B-Q5, を使ったアンプは数回 解体・組み立てなおしをしました。画像の現有品は組み換え4台目の真空管アンプです。
その後キット品を組み立てた LUXKIT A-3300,KMQ-60 を愛用していましたが 家庭内では KMQ-60 は消費電力も多く 30W出力も必要ありません。その結果自作品のメインアンプが活躍するわけです。その後 Luxman CL-35 以上の特性といわれた LUXKIT A3400(CL-30) を組み立て現在に至ります。

6B-Q5 このアンプは整流管を使用しておりません。シリコンダイオードを使っているため +B1 の電圧は 250V タップでチョークコイル出力電圧は304Vです。出力管のプレート・カソード間の電圧(Epーk)は 287V であり出力管の最大定格が 300V であるため 280V タップを使った場合規格オーバーとなりますので 電源タップは 250V を使用するわけです。カソードは各真空管ごとにカソード抵抗 560Ω 2W型自己バイアスで約 12Vの電圧が発生します。各真空管のカソード電流は21mAほどで4本でも85mA程度です。パワートランスの高圧巻線電流規格が120mA 以上あれば問題ありません。製作コストを考えれば比較的費用は安価となります。


以前は松下製 6B-Q5 でしたが 現在は Westinghouse 6BQ5 GERMANY と管壁に記載された真空管です。ヨーロッパ表記の EL-84 の表示はありません。保守管として10本まとめ買いしてある真空管です。ドイツ製となっていますが30年ほど前に購入しましたので東ドイツもしくは旧共産圏製と思います。
このアンプも出力が小さいながら 真空管からは結構な発熱があります。以前長時間使用したために 出力管の下部に通風孔がなかったため タムラ製作所製の出力トランス F-486(10Kp-p 15W) の故障が発生。その後ISOタンゴ製 FE-10-10 に載せ替えています。片チャンネルの故障は一次巻線高化が原因で歪が発生しました。やはり発熱の多い電力増幅出力管は通風を考えなければなりません。出力管はこのアンプも 10mmほど 落とし込みとしてあります。特に真空管が密集した構造では冷却用開口部は必要と思います。冷却ファンは騒音発生源となりますのでオーディオ用途では不向きと思います。



真空管アンプを自作する場合 6C-A7p-p ンプを組み立てるよりは この 6B-Q5p-p 三極管接続 自己バイアス回路のほうが 調整箇所はほとんどありません。テスター一台でも完成できると思います。
初心者にはこのアンプを組み立てるように推奨します。出力電力は大きくありませんので適合するスピーカーとして CORAL FLAT-6 系に似通った FOSTEX製 は現在でも入手可能と思います。シングルコーン・バックードホーンスピーカーシステムであれば高能率であるため家庭内での音楽鑑賞では 実用になると思います。パワーが出ない分トランス類は安価になると思います。道楽部屋のスピーカーシステムはいまだに DIATONE P-610 系(×2 ) フロア型100ℓバスレフでの運用です。初期には P-610A(BTS) スポンジエッジが10年ほどで破損し その後継続機種に入れ替えています。なお交換したスピーカーはセーム皮エッジとして再生しました。


その4 WE-421A 双三極管 単管 シングル Class A ステレオアンプ 3.0W×2

過去から 2A3 シングルステレオアンプは複数台工作しましたが フィラメントから発生する残留ハムに悩まされました。特に夜間のリスニングでは残留雑音が耳障りとなりまともに聞けません。45,300B,も同じく陰極がフィラメント構造の直熱管です。フィラメントを直流点火以外には解決策はありませんでした。残留ハム軽減回路もありますが回路が複雑になってしまいます。もしくはフィラメントを蓄電池からの純直流点火方式では電源装置が大掛かりとなってしまいます。
もしも 2A3 シングルアンプを工作されようとされる方は残留ハム雑音を覚悟しなければなりません、それを回避したシングルアンプを紹介します。

WE-421A 双三極管 Class A 単管ステレオアンプ
電力増幅出力管 WE-421A  双三極管 シングル Class A カソードバイアス(自己バイアス) Rk 833Ω 15W
電圧増幅管 12A-X7(ECC-83) SRPP カソード出力 初段及びドライブ 
出力トランス LUX SSB5B2.5 2.5KΩ シングル用
電源トランス 大阪高波(INSTANT) P-702 360V-280V 120mA,  6.3V/3A, 6.3V/2.5A, 5V/3A  280Vタップ使用
チョークコイル メーカー不明ジャンク品  15H/150mA
アルミシャーシー(200×300 1.5t) 木枠シナ合板
出力管は放熱に注意し 20mm の落とし込みとして真空管を冷却します。

左 WE 421A  右 TANGSOL 5998 互換品

WE 421Aは 6C33B,6AS7G,6080,5998,などと同様のレギュレーター用途の三極管です。USA軍用機器では 有名な WE-300B も レギュレーター管として使われています。WE-421Aの三極管は内部抵抗は低くく gm が高く バイアスが深いためオーディオ用途としては扱いにくい真空管です。特に6080(6AS7G)系の真空管は扱いにくいと思います。又固定バイアスは使用できません。カソードに抵抗を挿入する自己バイアス回路を使います。
このような特性の真空管ですが 特性をだましながら三極管シングルA級増幅のアンプを工作しました。唯一 A級シングル増幅アンプですが捨てがたい音質に仕上がりました。

WE-421A シャーシー内部構造
レギュレーター管を使ったアンプは複数台作成しました。一番最初に工作した時の真空管は RCA 6082 ヒーター規格は 26.5V/0.6A です。6080,6AS7G 同等管です。ヒーターのみ 6.3V/2.5A の仕様です。 真空管の最大プレート電圧が250V プレート損失は1ユニット当たり13Wです。増幅率μは 2 で プレート抵抗値は 280Ω と低くgm 7000 と高いのが特徴です。
それに比較して WE-421A,5998 は  真空管の最大プレート電圧が270V プレート損失は1ユニット当たり15Wです。真空管規格の詳細は不明ですがバイアス電圧は 6080,6AS7Gに比較して電圧は大きくありません。ということはドライブが楽になるということです。

後日ベル研発行の WE-421A の規格表は入手しました。TANGSOL 5998 より控えめの数値です。
最大プレート電圧 250V  最大プレート(陽極)損失 13W  となりますので控えめの設計しなければなりません。(2023-05-15 追加記載)

6080とWE-421A とのカソードバイアスを考えますと Class A での動作です。プレート電圧とカソード電圧差を 250V とします。プレート損失が 13W,15W からプレート電流をオームの法則より求めると
6080 W=I×E から 13W/250V = 52mA
WE-421A    W=I×E から 15W/250V =60mA (プレート損失13Wとした場合 6080 と同様のプレート電流は 250Vであれば52mA以下としなければなりません)
上記の設計数値を超えてはならない最大値です。上記数値以内となるようにカソードバイアス抵抗を選択します。なお熱暴走防止のためにも通常カソードバイアスの場合 グリッド抵抗は 500KΩ以下ですが今回100KΩにして設計を進めます。このような動作状態については真空管規格表には記載されていません。あくまでもレギュレーター管の動作しか記載されていませんでした。故浅野勇氏の雑誌 魅惑の真空管アンプ上巻によると 6AS7G A級動作のバイアス電圧は -125V と記載されています。ドライブ電圧も非常に高い電圧となります。バイアス抵抗を求めると
プレート・カソード電流を 50mA では RΩ = 125V/0.05A = 2500Ω(2.5KΩ) この抵抗での電力を求めると W= I× I× R より W = 0.05A × 0.05A × 2500Ω = 6.25W  と計算できます。2.5KΩ 15~20W型の抵抗が必要な訳です。供給するプレート電圧は 125+250=325V以上のB電圧が必要と計算できます。高々3W 程度のアンプでは効率は良くありません。
このアンプを組み立てましたが非常に発熱の多いアンプであり 時々スパークノイズに悩まされ解体してしましました。

電圧増幅管 12A-X7 SRPP 電力増幅管 WE-421A 双三極管 出力トランス LUX SS5B2.5
本命の WE-421Aの設計に進みます。この真空管も結構高額であり控えめの動作で設計します。真空管規格表は TANGSOL 5998 を参考としました。WE-421A の規格表は見つけ出せませんでした。
カソード・プレート間の電圧を 250V とした場合 カソード抵抗を手持ですが 833Ω/15Wの巻線抵抗での動作では カソード電流は 46mA です。カソード電圧は 39V です。たぶん 2A3 A級アンプと同様の値で最大定格になると思いますが実験しておりません。2A3 の場合カソード抵抗 750Ω でカソード電流が 60mA プレート・カソード間電圧は 250V になっていたと思います。
今回最大定格動作ではなく控えめな動作で完成としました。
以前は 6SN7 による増幅段が2段でした。1段増幅ですと感度が悪くコントロールアンプからの出力信号レベルが他のアンプとバランスが取れないため 2段増幅となったわけです。その後改造を加え 12A-X7 SRPP へとなりました。真空管ソケットの大きさが異なり 6SN7 当時のなごりは画像で確認できます。12A-X7 が落とし込みとなっている理由です。当初ドライブ管を五極管で設計しましたが気に食わず 三極管にこだわり一段増幅ではドライブ不足でした。

SRPP(シャント・レギュレーテッド・プッシュプル) 回路とは電圧増幅段の方式です。
今回ドライブインピーダンスが比較的低いこの方式を採用しました。直列に三極管がつながった構造であり上側の真空管はカソードホロワとなるため増幅度Ⅰ以下出力インピーダンスが低いのが特徴です。下側の三極管で電圧増幅します。12A-X7 はハイμ 100 で増幅度が高いが出力インピーダンスも高くなる性質の球です。SRPP回路は 欠点である出力インピーダンスを下げることができる回路であるわけです。良いこと尽くしではありません。上側の三極管のカソード電圧が高電圧となるとヒーター巻線間とカソード間の耐圧不足が発生します。耐ヒーター・カソード電圧は100V以下です。その場合ヒーターバイアスを加える必要が発生します。

真空管回りの部品取り付け状況
2A3 と同様の姿 ST16  真空管の形状です。2A3 が2本分一つのガラス管に封入されていることになります。控えめな動作で工作しましたが 片チャンネル 3W 程の出力が得られます。2A3 シングルではフィラメントハム雑音は取り切れませんでした。16Ω負荷時残留雑音が 数mV 以上あれば耳障りとなります。この WE-421A では フィラメントではなくカソードであるため高能率のスピーカーシステム(95dB程)ではハム音は検知できないぐらいまでに仕上がりました。三極管シングルの心地よい音質を演出してくれます。NFB は軽く 数dB程 施しました。ただシングルアンプはB電源のリップルは極力取り除かないとハム音に悩まされます。そのため 15H のチョークコイルを使用です。又電解コンデンサー容量値もしかりです。(420μF/ 420WV)  整流管回路の場合入力コンデンサー容量は 47μF 以下にしなければなりません。古典管の場合 10μF 以下です。
たった真空管3本でステレオアンプ完成です。
WE-421A の真空管は結構高額です。 TANGSOL 5998 は同等管であり 差し替えて動作試験しましたがヒヤリングでは大きな違いは判明しませんでした。安価な 5998 を探すのも得策と思います。

怖くて使えない GE 5998A
経験上の注意

WE-421A と TANGSOL 5998 は差し替えても問題なく動作することを確認しました。注意が必要なのは GE 5998A という球です。電極構造を目視すると6AS7G,6080 とそっくりです。差し替えて動作すると不定期ですが時々電極でスパークが発生し スピーカーからは大きなパルス雑音が発生します。怖くて使うことができません。真空管規格表は見比べましたが TANGSOL 5998 と大きな規格違いは見受けられません。レギュレーター管として使用する場合問題はないと思いますが 最大定格のオーディオ用途としては使用できない個人的な判断です。

レギュレーター管 左 東芝 6AS7G    右 RCA CRC 6082 (6080 とヒーター電圧のみ異なる)


コントロールアンプ(プリアンプ)   LUXKIT A-3400

LUXKIT A-3400  STEREO CONTROL CENTER
組み立て後50年弱経過していると思います。今日までには故障も発生しました。その都度修復してきました。通電時間は結構長いと思います。この機種は Luxman CL-35 よりはアクセサーリー類が多数搭載されており その個所からの故障もあります。リニヤイコライザー・マイクミキシング・高域 低域 フィルター回路に使われている多接点スライドスイッチ接点不良および マイグレーションによる接点間リークノイズで悩みました。
現在 LPレーコード盤 再生は可能ですが アナログ音源であるLPレコード盤・オープンリールテープ音源はほとんどデジタル変換終了しました。音源変換に際しオープンリールデッキも数多く修復しました。現在PCからのデジタル音源を主として音出ししています。
そのため低域・高域フィルター回路は信号回路から切り離しての運用です。同じくリニヤイコライザーも切り離しました。一応レバースライドスイッチは分解接点修理は終えていますが いつでも元に戻せる配慮はしております。
大きな故障として 組み立て後10年ほどで電源トランス・レヤーショートで発煙事故があり 代用トランスに載せ替えています。
真空管 12A-X7A(ECC-83) 松下製は数が多く搭載されており一部エミ減で交換しました。

このコントロールアンプはテープデッキが3台接続可能であり ダビングモードも搭載されています。現在 TAPE-1 には AD/DA コンバーター(USBを接続)を設置しPC(パソコン) と常時接続してあります。おかげさまで今話題となっている ハイレゾ音源 であるCD臭くないデジタル音源再生ができるシステムです。パソコン操作できない 因業爺さんたちにはまねのできないシステムです。その因業爺さんたちは いまだに高額なLPレコード再生装置に多額の出費(ウン百万円 ? )投資しているようです。
TAPE-2 には TEAC X10R もしくは A-6300MKⅡ を接続してあり 10吋メタルリールオープンテープはいつでも録音・再生可能な状態を維持しています。

別室の真空管アンプ Luxman SQ-38FD  ALTEC 612J(604-8H) TEAC オープンリールデッキ


道楽部屋 骨董品(がらくた ?  ) 測定機器類 実働します
YEW製 Class 0.5 精密級測定器で 上図の測定機類は随時自己校正は実施しています。その他特殊な測定機器類は常時使用しないため別保管しています。





by musenan sennin


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